大勝したエイバル乾貴士、移籍の噂を否定。「適当なこと書かないで」 (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 それでも乾が表情を曇らせていたのは、誰の目から見てもわかる得点やアシストという結果を手にすることができなかったからだろう。7分の枠をとらえたシュートは味方のキケ・ガルシアに当たり、23分のこぼれ球のシュートはポストの左をわずかにそれていった。

 結果にこだわること。それは選手としてとても大事なことであり、慢心せずに成長していく上で必要なことだろう。とはいえ、現状でも乾は監督、チームメイト、サポーターの信頼を勝ち得ている。

 今シーズン、乾がメンバーを外れたのは日本代表戦から戻ってきた直後のデポルティーボ・ラ・コルーニャ戦だけ。15試合でフル出場を果たしていることはホセ・ルイス・メンディリバル監督の信頼の表れと言っていい。

 右サイドで展開することの多いエイバルだが、乾がボールを持てば、ボールが出てくると信じて、しっかりと左サイドバックのコテ、ジュンカーはオーバーラップを仕掛けてくる。ミックスゾーンで話していると、チームメイトが次々と後ろから乾に茶々を入れてくるのも、いい関係を築けているからだ。

 サポーターが乾のプレーを楽しみにしていることは、スタジアムの歓声でもわかるし、通りすがりの人々が記者に「イヌイはヌンベル・ワン(Number oneのスペイン語読み)だ」や「今日のイヌイに足りなかったのはゴールだけだな」と、満足そうな表情で話しかけてくることからも感じられる。

 そんな乾がこの日、表情を変えた質問がひとつあった。それはビジャレアル移籍に関する噂についてのもので、乾は裏も取らずに流された、いい加減な情報にうんざりとしていた。

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