見たかハリル、香川真司がファインゴール。でも表情が冴えないのは...

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Getty Images

香川真司がビューティフルボレーで今季5点目!」――そんな見出しがネット上に踊っている。ブンデスリーガ第20節、ドルトムント対フライブルク戦の9分にあげた香川の先制ゴールは確かにきれいなものだった。

フライブルク戦で先制ゴールを決めた香川真司(ドルトムント)フライブルク戦で先制ゴールを決めた香川真司(ドルトムント) フライブルクのゴール前で混戦になった末、ウカシュ・ピスチェクが右から放ったシュートを、至近距離のディフェンダーがスライディングでブロック。そのボールがもうひとりのディフェンダーに当たった後、香川にところにふわりと浮いてこぼれてきた。

 だが、このゴールについて香川は「うまくこぼれてきたので、ふかさないように意識しましたけど......」と短く触れただけだった。いいポジションに入れるようになったのは確かだし、冷静にシュートを打てたというのも間違いないが、試合後の香川の心中を占めていたのはそれではなかったのだ。

「負けに等しい引き分けじゃないかな、感じ的には」

 香川はいつになく短いセンテンスで試合を振り返った。ドルトムントは9分に先制しながら、一時は逆転され、90分にようやく追いついた。ふがいない試合に、自然とため息が混じる。昨シーズンも、その前のシーズンも2勝している相手に、今季は勝てないもどかしさが滲み出ている。

 先制点までは悪くなかった。

「いい入りしたと思いますし、特に右からうまく攻め込めていた。そういう意味で、先制点をとったあと、ちょっと気が抜けたところを雰囲気的に感じました」

 香川がそう指摘したように、先制点を奪ったことでスキが生まれたわけだが、それ以前にも予兆はあったという。

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