井手口陽介リーガデビュー。相手を削って「戦える日本人」をアピール (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 この試合では、井手口が相手にプレスをかけられながらボールをキープする場面でのプレーはなかった。13分間の戦いは、両チームの力の差から押し込まれる時間が多く、相手を潰す、相手の攻撃を遅らせるというプレーが主となった。今後の試合では、攻撃面でどれだけチームの起点となるプレーを見せられるかが重要になるだろう。

「自分はサッカーの泥棒だよ。プラスになると思った考えは全て取り入れている」と、過去のインタビューで語っているクルトゥラル・レオネサの指揮官デ・ラ・バレーラ。見た目は"ちょいワル"の33歳の若手監督だ。

 そのサッカーはショートパスを中心とした、どちらかといえば日本人が好きなタイプのもの。だが、オサスナ戦では守備時には5-2-3となる4-3-3の変形のシステムを採用していたように、選手には高い戦術理解度が求められる。

 特に攻守のつなぎ目となる井手口がプレーするポジションに対する要求は厳しくなるだろう。どれだけ早く自身の中でクルトゥラル・レオネサの戦術を消化できるかは、井手口の飛躍のカギとなってくるはずだ。

 この日、エル・サダルでの13分間のプレーを見た印象はポジティブなものだった。残留を争うクルトゥラル・レオネサの大きな力になると感じさせた。

「メッシは『ツバサ』、クリスティアーノ・ロナウドは『ヒュウガ』だ。彼らがパンプローナ(オサスナが本拠を置く街)でそのプレーを見せてくれることは、アニメでは味わうことのできない、これ以上ないスペクタクルだ。そのためにもオサスナはプリメーラ(1部)に上がらないといけない。そのクルトゥラルの日本人選手がいい選手だったら、来年はメッシとクリスティアーノ・ロナウドを倒すためにオサスナに来てほしいものだね」

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