バルサを慌てさせるクラブはあるか?リーガに詳しすぎる3人が検証 (3ページ目)

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――ところで、バレンシアといえばシンガポールの実業家でもあるピーター・リムがオーナーになった2014年から、監督人事を含めてクラブの混乱が続いていました。サポーターもリムのやり方に反発していたようですが、今季はそういう声も聞こえません。結果を出しているので当然かもしれませんが、今季はフロントの方針にも何か大きな変化があったのですか?

小澤 これまでは、資金力はあってもフロントにしっかりとした人材を置けなかったので、補強も失敗続きでした。フロントが現場の足を引っ張っていたというのが、ここ2、3シーズンだったと思います。

 ただ、今季はマルセリーノを監督に招へいしたうえ、マテウ・アレマニーというマジョルカの会長も務めたことがある人物が、スポーツディレクターとしてよい仕事をしています。オーナーや会長が余計な口出しをせず、現場のことは彼らに一任したことで、開幕までに監督の希望通りの補強ができました。たとえばコンドグビア、ゲデス、ジェイソン・ムリージョ、ネトなどが今季開幕前の新戦力ですが、いずれも主力として活躍していますし、補強策が見事に的中したと言っていいと思います。

――その他に注目すべきチームはありますか?

ディエゴ・コスタ(写真右)が復帰して現在2位のアトレティコ・マドリードディエゴ・コスタ(写真右)が復帰して現在2位のアトレティコ・マドリード

中山 僕はアトレティコ・マドリードの巻き返しに注目しています。ディエゴ・シメオネ監督になって6シーズン目を迎えましたが、開幕当初は新スタジアム(ワンダ・メトロポリターノ)で結果を残せず、かなり厳しいスタートでした。不調の原因は決定力不足で、特にエースのアントワーヌ・グリーズマンがなかなかゴールを決められず、勝てる試合を引き分けてしまうケースが目立っていました。若手のサウール・ニゲスとアンヘル・コレアの活躍に救われた試合もありますが、やはりエースが活躍してくれないと思うような成績を残すことはできません。

 そんななかでも、自慢の守備が崩壊しなかったのは、さすがシメオネのチームだと思いました。普通なら、守備が頑張っても前線がゴールを決めてくれない試合が続くと、守備陣が息切れしてしまうものですが、アトレティコは今季もとても粘り強い。確かにチャンピオンズリーグではグループリーグで敗退することになってしまいましたが、守備の頑張りが開幕から16試合で無敗を続けた最大の要因でしょう。

倉敷 アトレティコはこの冬の移籍マーケットからFIFAの補強禁止処分が解けたことで、9月に加入が決まっていたディエゴ・コスタがようやく出場できるようになりましたね。1月6日(第18節)のヘタフェ戦では、さっそくラ・リーガ復帰を自ら祝うゴールを決め、古巣のサポーターと一緒に喜びすぎて2枚目のイエローカードをもらって退場処分になるというオマケもつきましたが、開幕時からの課題であった「誰がグリーズマンの相棒なのか?」という回答が得られそうな気配です。得点力は大きくアップするのではないでしょうか。

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