ネイマール抜きでも、なぜ今季のバルサは強いのか。あの3人が考えた (7ページ目)

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倉敷 ただ、可能性はあるんじゃないですか。たとえばミツバチの話ですが、女王バチになるハチも、もともとは普通の働きバチと変わらなくて、ローヤルゼリーをたくさん与えられたハチだけが、やがてただ一匹だけの女王バチになるんですね。つまり、特殊な存在になりえる資格者が良き指導者と出会い、バルサイズムという名のローヤルゼリーをたっぷりと与えられるかどうかという話です。

 そのためにはカンテラーノ(下部組織でプレーする選手)の環境が重要です。集められる選手も、指導者も、選ばれた者である必要があり、フロントが正しく機能する必要もあります。バルサのロイヤルゼリーはバルサのカンテラにしかない、それが"クレ"(バルサ・サポーターの愛称)にとってはロマンですね。育成に関してはいずれ小澤さんを中心に、詳しくこの場で語ってみたいと思っています。

中山 バルサのスタイルを築き上げたヨハン・クライフがこの世を去ってしまっただけに、この流れを食い止めるのは一体誰なのか。まだ実現するには時間がかかるでしょうけど、たとえばチャビが監督になってバルサに戻ってきたら、きっと流れが大きく変わるのかもしれませんね。

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倉敷保雄(くらしき・やすお)

1961年生まれ、大阪府出身。ラジオ福島アナウンサー、文化放送記者を経て、フリーに。現在はスカパー!やJ SPORTSでサッカー中継の実況として活動中。愛称はポルトガル語で「名手」を意味する「クラッキ」と苗字の倉敷をかけた「クラッキー」。番組司会、CM、ナレーション業務の他にゴジラ作品DVDのオーディオコメンタリーを数多く担当し、ディズニーアニメ研究のテキストも発表している。著作は「ことの次第」(ソル・メディア)など。

中山淳(なかやま・あつし)

1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌の編集部勤務、同誌編集長を経て独立。以降、スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカージャーナリストとしてサッカーおよびスポーツメディアに執筆。また、CS放送のサッカー関連番組に出演し、現在スポナビライブでラ・リーガ中継の解説も務めている。出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行う有限会社アルマンド代表。

小澤一郎(おざわ・いちろう)

1977年生まれ、京都府出身。サッカージャーナリスト。早稲田大学卒業後、社会人経験を経て渡西。バレンシアで5年間活動し、2010年 に帰国。日本とスペインで育成年代の指導経験を持ち、指導者目線の戦術・育成論やインタビューを得意とする。多数の媒体に執筆する傍ら、スポナビライブにてラ・リーガ(スペインリーグ)、スカパー!にてUEFAチャンピオンズリーグなどの試合解説もこなす。これまでに著書7冊、構成書4冊、訳書5冊を刊行。株式会社アレナトーレ所属。

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