リーガ通3人は考えた。
なぜ乾貴士と柴崎岳はスペインで成功したか?

  • photo by Mutsu Kawamori/AFLO

倉敷 やはりアタッカーの選手が現地で評価を得るためには、ゴールは大事ですよね。特にビッグクラブと対戦した時などの大きな試合でゴールを決め、一気に評価を上げた日本人選手は過去にも少なくありません。たとえばローマ時代の中田英寿がユベントス戦で途中出場して、ゴールを決めるなど救世主的な活躍を見せたり、高原直泰がハンブルガーSVに加入したシーズンに当時連続無失点記録を継続中だったバイエルンのGKオリバー・カーンからゴールを奪ったり。

 同じように、今季ヘタフェに移籍した柴崎もバルセロナ戦でスーパーボレーシュートを決めて新天地での評価をつかみ取ることができました。

中山 第4節というかなり早い時期に、しかもホームのファンの前でやってのけた。今季は彼にとっては初めてのラ・リーガだったわけですが、あのゴールは挨拶代わりの一発として、ものすごいインパクトがあったと思いますね。

 残念ながらその試合の後半に負傷交代してしばらく戦列を離れてしまいましたが、ファンやメディアはあのゴールがずっと頭に残っていたはずです。復帰戦となった第15節(2017年12月9日)のエイバル戦で、柴崎が途中交代でピッチに入った時の大歓声は、その証明だったと思います。

――バルセロナ相手にゴールを決めたという点では、エイバルの乾も同じです。昨季の最終節、カンプ・ノウで2ゴールを決めたことが日本でも大きな話題になりました。その乾について、みなさんはどのように評価していますか?

エイバルの人気者としてチームの中心になりつつある乾エイバルの人気者としてチームの中心になりつつある乾中山 乾はラ・リーガ3季目ですけど、個人的には昨季の変化に注目していました。これはエイバルに加入する前のボーフムやフランクフルト(ドイツ)でプレーしていた時にも言えたことですけど、それまでは守備面に多くの課題を抱えていて、それが出場時間にも表れていたと思うんです。

 しかし、昨シーズンの途中から、守備時のポジション、攻から守への切り替え、1対1の対応といった部分で進化した印象があります。エイバルのホセ・ルイス・メンディリバル監督もその部分を評価するコメントを何度もしていますが、それがコンスタントに活躍できるようになった最大の要因だと思います。

 特に守備時の1対1の局面で、相手との間合いをつかめるようになった。これは攻撃時に仕掛ける場面でも役立っていて、彼が得意とするカットインからのシュートやパスが目立つようになってきたのは、その感覚をつかめるようになった証拠だと見ています。ドリブル突破する時はまず相手を動かす必要があるので、自分の間合いで仕掛けられないと難しいですからね。

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