弱い代表チーム、国際世論の批判...。W杯開催国ロシアの狙いは外れた

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】W杯開催国ロシアのいま(後編)

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 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は今、ワールドカップを招致しなければよかったと思っているかもしれない。

ロシアW杯のチケット販売に合わせて行なわれた「トロフィーツアー」に出席したプーチン大統領photo by AP/AFLOロシアW杯のチケット販売に合わせて行なわれた「トロフィーツアー」に出席したプーチン大統領photo by AP/AFLO おそらくロシアは、無難に大会をやり遂げることだろう。だが2010年にワールドカップを開いた南アフリカは、汚職やレイプの容疑をかけられていたジェイコブ・ズマ大統領のもとでも大会を成功させた。以来、ワールドカップを成功させることは、それほど大きな勲章ではなくなっている。

 しかもプーチンが主にアピールしたい相手は外国人ではなく、ロシア人だ。「このワールドカップはロシア人に対して、『われわれの国はこれほど偉大だ』と伝えるものになる」と、旧ソ連圏諸国のフットボールについて報じるウェブメディア「フットボールグラード」のマニュエル・ベス編集長は語る。

 プーチンはロシア人のライフスタイルをもっと健康的なものにするためにスポーツを使おうとしていると、ダブリン大学トリニティー・カレッジの経済学者コンスタンティン・ゴルドギエフは言う。ロシアで大酒飲みの古い世代が減っていることも、この点にはプラスになるだろう。

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