プーチンはロシアW杯を「さっさと終わらせてしまおう」と考えている (3ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 FIFA理事会がワールドカップ開催国決定の投票を行なう前に、プーチンは22人の理事会メンバーのうち6人前後に会っていた。2010年12月2日、FIFAはロシアを選んだ。プーチンにとってはこの日が、大会招致から開幕までの9年間に及ぶ道のりのなかで最高の日だったかもしれない。

 ところがその後、欧米でのロシアのイメージは地に落ちた。背景にある要因を挙げると、ウクライナへの軍事介入や独裁的なシリアのアサド政権に対する支援、経済の低迷、オリンピックでの国家ぐるみのドーピングの発覚、アメリカをはじめとする外国の選挙への介入......などキリがない。

 いまアメリカでは、10人に7人がロシアのことを好ましく思っていない。世論調査会社のギャラップが1989年にこの点について調査を始めて以来、最悪の数字だ。

 ともかくアメリカ人は、代表が出場を逃したこともあって、ロシア大会にほとんど関心を払わないだろう。また、ヨーロッパのテレビ観戦者は、ワールドカップに乗じてロシアが仕掛ける宣伝を信じないはずだ。

 この大会で、数千人のジャーナリストがロシアを訪れる。ロシアで1カ月を過ごす外国人ジャーナリストの数としては史上最多になることは間違いない。だが彼らは、ロシア社会の負の側面を次々と伝えることになりそうだ。


(つづく)

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