今季プレミアで見えてきた、カタールW杯はイングランドが優勝か? (3ページ目)

  • 井川洋一●文text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

【バーンリーとダイシ監督の長期プロジェクト】

 昨季、昇格組で唯一残留を決めたバーンリー。順位は16位で「なんとか達成した」という印象は拭えなかったが、今季はしぶとく戦って勝ち点を積み上げ、6位につけた時期もあった。

 折り返しの19試合終了時では9勝5分5敗の7位だったが、16得点(15失点)は他の上位クラブと比べて極端に少ない。しかし彼らの姿にこそ、資金に乏しい中小クラブの"生きる術"が隠されている。

 プレミアリーグで数少ないイングランド人オーナー(あるいは筆頭株主)が統率するクラブは、2012年から現場を任せるショーン・ダイシ監督に全幅の信頼を寄せている。その間に昇格と降格を経験したが、監督を代える選択には至らず、一昨季に再び昇格を果たして今季の躍進につなげているのだ。

 フロントとコーチ陣が深く理解し合うことで、新戦力の獲得にも現場の声が反映され、新たに加入した選手はダイシ監督が求めるものを早々に理解する。そして、ピッチ上では全員が献身的にハードワークし、チームは開幕戦で昨季王者チェルシーを3-2で下すなど、最少得点差の勝利を重ねていった(2点差以上の勝利は1度だけ)。

 揺るぎないアイデンティティーと着実な長期的プランを持つバーンリーは、ある意味、現在のプレミアリーグで最も幸福なクラブかもしれない。

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