岡崎慎司の教えを胸に。ドイツ8部から這い上がる日本人選手の思い (6ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by FC Basara Mainz, Nakata Toru

「クラブがお金を払って格安でジムと提携し、選手たちが無料で筋トレできるような環境を整えました。インターン生も多く、広報として3人います。昨季インターンとしてフィジカルトレーナーを務めた宮崎宏基はいい人材だったので、彼に給与を払えるようにスポンサーと相談をして、バサラマインツに残ってもらいました。クラブとしては確実に成長しています」(山下)

 しかし、せっかくドイツに来たのだから、選手たちにはもっとギラギラしたものを持ってプレーしてほしい......という注文が山下にはある。やはりそういう気持ちは、日高や奥田裕也のような他のドイツのクラブを経てバサラマインツに辿り着いた選手のほうが強い。そういえば、日高がこう言っていた。

「ドイツのサッカーに慣れるまで、絶対に時間がかかります。最初はチームメイトとコミュニケーションがとれないし、そもそもサッカーも違う。日本で正解だと思っていたプレーも、チームメイトの10人が違った方向性を持っていたら、それは間違いなんですよ。すると監督から、『お前はいらない』と根本から否定されてしまう。

 だけど、もしドイツ語がしゃべれたら、また違ってくると思うんですよ。『俺はこう思っている』と伝えることができたら、ドイツ人の選手も『お前はこうしたほうがいいぞ』と教えてくれる。そこでお互いの距離がグッと縮まれば、譲り合えて『お前のやりたいことのうち、俺たちはそこはできるよ』となる。

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