岡崎慎司の教えを胸に。ドイツ8部から這い上がる日本人選手の思い (4ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by FC Basara Mainz, Nakata Toru

「1年目や2年目は戦力的なこともあって、自分がどうにかしないといけないという事情もあったから、自分の能力以上の力が出て、『シュートを撃てば入る』というゾーンに入っていた。エースとしての期待に応えているうちに自信がついた」

 バサラマインツの試合を見ていて、日高が相手選手にヒップアタックを食らわせてイエローカードを受けたシーンがあった。

「実は、あの選手は前半からずっと差別用語を言っていたんです。(ヒップアタックという)あの行為そのものはよくなかった。だけど、下部リーグはプロと違ってサッカーへのリスペクトがなく、卑劣なことをしてくる奴がいる。僕にはやはり、日本人としての誇りがある。差別用語は日本人全員への侮辱。『お前、黙らせたる』と思った。

 8部リーグのチームは試合こそ真剣ですが、普段はサッカー中心の生活を送ってない。僕たちはプロになるという目標を持って8部リーグを戦っている。1対1の球際の競り合いに挑むとき、いろいろと僕の頭のなかをよぎるんです。『お前ら、サッカーは遊びの一環だろう。俺はプロへの夢はあきらめたけれど、サッカーへの思いは継続中や。汚いプレー、削るようなプレーをしてくるお前らとはサッカーへの思いが違う。だから1対1では負けない。ナメんなよ』と」(日高)

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