日本人選手がプロを目指すクラブ、ドイツ8部のバサラマインツとは? (7ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by FC Basara Mainz, Nakata Toru

 そのなかのひとり、山田大記(当時カールスルーエ/現ジュビロ磐田)のアドバイスはこうだった。

「自分の思ったプレーができず、メンタルに問題があるのだったら、ちょっとレベルを落として『王様』としてガンガンやって、自分のプレーを思い出すのもアリだと思うよ」

「レベルを落とすというのは勇気がいる。でも、僕のなかで何かを変えないといけないというのがあった。それで(山下)喬さんとも相談して、バサラマインツに来ました」(奥田)

 なるほど、本来なら奥田は8部リーグでプレーしていてはいけないレベルの選手だったのだ。そう思うと、私が彼のプレーを見て感じた「他の選手との圧倒的なレベルの違い」も腑(ふ)に落ちる。

「バサラマインツの試合で見せている積極性。これを上のレベルでもやれたら、まったく印象の違った選手になれる。それを求めて、バサラマインツにやって来たんです」

 石井のように「ドイツサッカーの予備校」として使うのが、バサラマインツの本来の役割。しかし、奥田にとってバサラマインツは「アマチュアプレーヤーの再生工場」。そう感想を告げると、奥田は「僕のようなケースはこれから増えるかもしれませんね」と言った。

(後編につづく)

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