日本人選手がプロを目指すクラブ、ドイツ8部のバサラマインツとは? (6ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by FC Basara Mainz, Nakata Toru

 その他にも、いざという場面で奥田がケガで泣いたケースはとても多い。

 そしてもうひとつ、奥田にはメンタル面での課題もあった。才能のある選手だけに、これまでにもフランクフルトのセカンドチームやカールスルーエのセカンドチームに練習参加できる話もあった。奥田の立場としては、自分のよさを十分発揮してアピールすべき舞台である。ところが奥田は、「ミスをしてはいけない」と味方に安全につなぐパスを選択し、関係者をガッカリさせてしまったのだ。

 もちろん、奥田はアタッカーとして「数字を残すことは大事」ということを胸に刻んでドイツにやって来た。しかし、サイドバックにコンバートされたり、レベルの高いところに放り込まれたりすると、「まずはミスなく安全にいこう」という弱気の虫が顔をのぞかせてしまうのだという。

「今年、自分は25歳。あと一歩の階段をずっと登ることができなかった。歳も歳なので、辞めることを考えた時期もありました。チャンスがなければ『無理だな』と思ってスパーンと辞められたんでしょうが、チャンスがあったのに上に行けなかったのが納得できなかった。これは自分のメンタルの問題なんですけれど、どうしてもミスなくワンタッチ、ツータッチでやろうとしてしまう。そこでいろいろと人に相談しました」(奥田)

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