武藤嘉紀にW杯への危機感。
「呼ばざるを得ない状況を作るしかない」

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by AFLO

 ドイツに来てからの2シーズンは、それぞれ半分近い期間をケガで棒に振っている。だからこそ、シーズンを通して活躍するために、専属トレーナーを日本から呼び寄せてサポート体制を整え、「足の裏の細かい筋肉まで意識して」トレーニングを行なった。

「どんな小さなところも妥協せずに、突き詰めたい。何もやらずに後悔したくない」と、武藤は語る。考えすぎないタイプの選手もいるが、武藤は理詰めで、すべてを納得したうえで突き詰めようとしているようだった。専属トレーナーを通年で呼び寄せることまでしたその行動力に、W杯への思いと意志の強さを感じた。

 その甲斐あって、マインツでの今季は第12節までは全試合に出場した。ドイツ杯2試合を含めて14試合中、途中出場は3回。他はほぼフル出場だった。だが、それでも日本代表には呼ばれなかった。皮肉にも、今季初めて負傷したのは、11月の代表ウィーク明けのケルン戦だった。相手選手との接触で腰を痛め、炎症を起こして4試合を欠場する。

「腰、やっちゃったことあります? 腰っていう漢字は『にくづき(部首)に要』って書くじゃないですか。本当にそうなんですよ。もう他は完璧でも、腰がだめだと何もできない!」と、腰の故障特有の難しさともどかしさを口にもした。

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