スペイン人より詳しいあの3人が語り合う、細かすぎるクラシコ観戦術 (3ページ目)

  • 中山淳●構成 text by Nakayama Atsushi
  • 山本雷太●撮影 photo by Yamamoto Raita

中山淳氏中山淳氏──では、今回の見どころについてはどうでしょうか? やはり日本では「クリスティアーノ・ロナウド対リオネル・メッシ」という構図で注目するファンも多いと思いますが...。

小澤 個人的には、そろそろ2大スターの対決という構図、見方はやめてもいいんじゃないですか......。特定の選手個人にフォーカスする見方ではクラシコの面白味を半減させてしまうと思います。サッカーとは本来、11対11のチームスポーツであり、戦術的駆け引きがピッチ上で常に行なわれている、とても魅力的で知的レベルの高いスポーツです。

 もちろん両チームともそのふたりを中心にチーム作りをしているわけですが、マドリーであればジネディーヌ・ジダン監督が、バルサであれば今シーズンから指揮を執っているバルベルデ監督がそれぞれのチーム作りをしているわけで、両指揮官がクリスティアーノとメッシを輝かせるためにどのような戦術的スキームを用い、この試合に勝つためにどう微調整してくるのか、という見方をした方が興味やサッカーの理解が広がると思います。

倉敷 僕は、ジダン監督がこの試合でイスコをどうやって使うのかというところに興味がありますね。マドリーの元選手で監督も務めたOBのホルヘ・バルダーノが、「イスコはひとりで何でもやりたがっている」というコメントを現地メディアでしているんです。本来、得意としているプレーエリアではなく、ピッチのどこにでも顔を出してしまって、それが逆に彼の良さを消してしまっていると。

 その他にも、バルダーノはクリスティアーノとカリム・ベンゼマがお互いのよい部分を消し合っていて、「ひとつのボールに同じ風に反応して、お互いを使おうとするプレーが少ない」とも指摘していました。果たして、それらについてジダンはどういう風に分析し、クラシコに臨むのかという点に興味が沸きますね。

中山 確かに、今シーズンのジダンはイスコを中心にしたチーム作りを進めています。ひとりだけ自由を与え、まるで自分の現役時代と同じようなイメージで彼に役割を与えているようにも見えます。しかも今シーズンはケガや出場停止が重なり、これまで一度もBBC(ベイル、ベンゼマ、クリスティアーノ・ロナウド)が同じピッチに立ったことがない。

 で、ようやくこのクラシコで今シーズン初めてBBCを結成させるチャンスがやってきました。もちろんBBC自体も注目ではあるんですが、そこで浮上してくるのが、その中でジダンがイスコをどのように使うのかという点ですね。

3 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る