多くを語らぬヘタフェ柴崎岳。試合後のポーズが語る先発復帰への課題 (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 ファーストタッチで相手ボールをインターセプトしたほか、20分には相手選手の後ろからボールを奪うなど、まずまずの入り方を見せていた。4-4-1-1のトップ下でプレーをしていた日本人MFは、守備を固めるためメディ・ラセンが投入されると、左サイドに主戦場を移す。

 しかし、そのサイドには積極的なオーバーラップをしかけ、ラス・パルマスの攻撃を活性化していたダビッド・シモンがいた。柴崎はシモンをケアするために徐々にラインを下げていき、攻撃よりも守備に奔走する時間が増えていく。

 また、ホルへ・モリーナが下がったことから前線で起点を作ることができなくなったヘタフェは、守備から攻撃へスムーズに移行することができずにいたが、その中でも柴崎はチームの決定的なチャンスに絡んでみせた。25分、エリア内で左サイドの味方からのパスに柴崎が足を伸ばして触ると軌道が変わり、アンヘル・ロドリゲスへ。アンヘルは角度のないところからゴールを狙った。

 決して意図的にチャンスを作り出したというわけではないが、必死に伸ばした足からチームの好機が生まれていた。

 そして41分にアンヘルに出したスルーパスは、明確に日本人MFが狙ったものであり、そのセンスが光るものでもあった。ファイカル・ファジルからの浮き球のパスを中央やや左サイドでうまく処理し、スペースを支配した背番号10番は、決定的なラストパスを送ってみせた。

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