柴崎岳にはヘタフェがよく似合う。テクニシャンの復活にファン大歓声 (3ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 注目の試合は故障明けの柴崎がベンチスタートとなった一方で、乾は予想通り4-4-2の左MFでスタメン出場。残念ながら試合開始から日本人対決は実現しなかったが、前節で無敗の2位バレンシア相手に金星を挙げるなど絶好調のヘタフェと、3連勝中で上昇気流に乗るエイバルの戦いは、お互い一歩も譲らない激しいつぶし合いが続いた。

 開幕前の予想を覆して8位につけているホームのヘタフェは、ファウルも恐れぬ激しいディフェンスが最大の売りだ。ボールポゼッションを度外視したカウンター狙いのそのサッカーは、もしかしたら日本人ファンからすると華麗なパスサッカーを特徴とするラ・リーガのイメージとは異なるスタイルに見えたかもしれない。実際、この試合でも中盤を省略したロングボールを2トップの一角、アンヘル目がけて放り込み、そこを起点にカウンターを狙うという戦術を徹底した。しかし、実はそれこそが、創造性豊かなテクニシャンである柴崎がこのチームで貴重な戦力となっている理由でもある。

 その柴崎がピッチに登場したのは、後半74分。日本人対決を意識しすぎたのか、この日はミスも多く見せ場を作れなかった乾が途中交代でベンチに下がってから11分後のことだった。柴崎と同じくテクニックを武器とする乾にとっては、ヘタフェのように球際に激しくくる相手にいかに対処するかという課題が残された試合でもあった。

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