流血しながら「ほぼ岡崎慎司のゴール」。それでも悔しさをにじませた (3ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 しかも60分には、自身の足で豪快にゴールも決めている。岡崎が不甲斐ないプレーを見せれば、「なぜグレイを下げたのか?」と英メディアやサポーターから不満の声があがっても不思議ではなかった。その証拠に、交代時のグレイは苦笑いを浮かべ、自分をベンチに下げた采配に納得のいかない様子だった。

 要するに岡崎としては、ゴールを奪う、もしくはゴールに直結するプレーが必要だったのだ。

 ところが、投入から5分後にハプニングに見舞われてしまう。自陣のタッチライン際で頭から競り合いにいったところで、相手選手の足が岡崎の左目上あたりを強打。岡崎はそのまま、うずくまってしまう。アップ中のDFクリスティアン・フックスが岡崎の出血を確認すると、すぐにドクターを呼んだ。応急処置をして出血部分を包帯でグルグル巻きにすると、2分後にピッチへ戻った。

 岡崎の出血は包帯の上からもにじんで見えたが、それでも全力で走り回った。こうした気持ちのこもったプレーが実を結んだのが、86分の決勝ゴールだった。

 味方のクリアボールを、岡崎が自陣の中盤でキープ。トラップが大きくなったことで、相手選手にガツンと寄せられて体勢を崩したが、岡崎はなんとかMFリヤド・マフレズにボールを預けた。

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