ハンブルガーで評価高まる伊藤達哉を、酒井高徳が兄のようにサポート (2ページ目)

  • 鈴木智貴●取材・文 text by Suzuki Toshiki
  • photo by Getty Images

 試合後、酒井はこの伊藤の交代について、「(監督の意図は正確には)知らないですけど」と前置きしながら、こう分析している。

「何かを変えたいんだなっていうのは感じました。『もう少しオフェンシブにいきたいのかな?』とか、あるいは『中盤を少し厚くしたいのかな?』とか。ちょっと両サイドが外で孤立することが多かった。いつもそこが強みだったんですけど、突破できない状態がけっこう続いたので、真ん中で変化をつけたかったのかもしれません。実際に前半、彼(ルカ・バルトシュミット)が(伊藤との交代で)入ってきてからは、少しいい形の攻撃が何本かできましたし」

 そう話す酒井自身も、シュツットガルトで残留争いに巻き込まれた2014-15シーズン終盤は、ベンチから戦況を眺める時間が多かった。心新たに移籍した今のHSVでも、加入1年目の開幕から第11節までの出場時間は、合計でたった45分。そんな浮沈の時を過ごしてきただけに、弟のように可愛がる後輩の心情は、痛いほどわかっている。

「まあでも、彼にはいい経験になったんじゃないですか。彼にとって今は、1秒、1分、1時間、1試合、1回のトレーニング、すべてが貴重な経験になってると思います。今日は本人が一番悔しいと思うし、無駄にしないでほしい。悪かったかどうかが問題じゃなくて、この後が一番問題なので。悪かった試合なんて、選手をやってればいくらでもありますから。

(伊藤から)何か聞いてきた時にはしっかり答えたいと思います。僕もドイツで長くいるから、自分の思ったことをはっきり言う。(はっきり言うけど)それをマイナスで捉えないでほしい。すべての経験が今の彼には大事なので、『いろいろなことがある』とわかるためにも、自分でも考えてほしい。というか、(伊藤は)絶対に考えていると思います」

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