警告のラッパは7度鳴る。イタリアに見る、W杯予選「地獄の黙示録」 (2ページ目)

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 背水の陣で臨んだサンシーロの雰囲気は素晴らしかった。イタリアの代表戦でこれほどの熱さを感じられたのは久々のことである。スタジアムを埋め尽くした7万2000人のサポーターは選手たちに寄り添い、心からの声援を送っていた。試合前、スポーツ紙が行なった意識調査では75%の人がイタリアの勝利を懐疑的に見ているとのデータが出たが、それでも心のどこかでは信じていたはずである。イタリアがW杯を逃すことなどあるわけがない――と。

 選手たちの闘志も最高だった。まるで怒鳴るような大声でイタリア国歌を歌う選手たちからは、悲壮なまでの決意が感じられた。カルチョ王国の伝統を自分たちで途絶えさせてはならない――。そしてその通り、彼らは全身全霊を込めて自分たちの持てる最大限の力を出して戦った。

 しかし世界の終末は来てしまった。90分間どんなに攻め立てても、イタリアはスウェーデンからゴールをもぎ取ることができなかった。手を抜いたり、大きなミスを犯して負けたならまだ言い訳はできただろう。しかし、イタリアは全力を尽くしても勝つことができなかった。最悪だ。

 つまり、今のイタリアはどんなに頑張ってもW杯の切符には手が届かないチームということなのだ。

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