イタリア敗退は番狂わせじゃない。
いずれ露見するはずだった才能の枯渇

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 予選敗退が決まったスウェーデンとのプレーオフ第2戦にしても、イタリアは大きな間違いを犯したわけではない。第1戦の0-1から逆転での出場権獲得を目指すために、やるべきことを粛々と遂行していた。

 4-4-2で守備を固めるスウェーデンに対し、3-5-2のイタリアはワイドにボールを動かし、スウェーデンの守備網をどうにか広げようと試みた。両サイドのマッテオ・ダルミアン、アントニオ・カンドレーバは、タッチラインを踏み続けるほどの開いた位置にポジションを取り、徹底してサイドからの攻撃を仕掛け続けた。

 これに対し、スウェーデンの4バックは簡単にはサイドに引っ張り出されることなく、ダルミアン、カンドレーバへの対応はサイドMFに任せ、基本的に4人のDFは絞ったポジションを取って中央を固めることに徹した。

 その結果、スウェーデンの4バックの前、いわゆるバイタルエリアでは、スウェーデンのボランチ2枚に対して、イタリアのMF3枚が進入してくる数的優位の状況が生まれた。実際、イタリアは3バックからタイミングのいい縦パスが、数的優位のエリアに何本も入った。バイタルエリアでパスを受けたマルコ・パローロやアレッサンドロ・フロレンツィが、前を向いて攻撃を仕掛けるシーンは何度も訪れた。

 だが、悲しいかな、そこまでだった。いくら前を向いてボールを持とうとも、スウェーデンの強固な最終ラインを破るには、技術もアイディアも物足りなかった。イタリアはあれだけバイタルエリアに縦パスが入り、前を向けたにもかかわらず、ゴールを奪うどころか、決定的なシュートチャンスすらもほとんど作ることができなかったのだ。

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