W杯目前で散った北アイルランドに見る、厳しくも奥深い欧州サッカー (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 特にMFジョージ・サヴィルとDFクリス・ブラントという、ふたりのレフティが連係する左サイドからの攻撃は精度が高く、何度となくチャンスを作り出した。最強の敗者も、ゴール前でボールをはね返すのが精一杯。そんな時間が長く続いた。

 しかし、結局は北アイルランドも決め手を欠き、スコアレスドロー。スイスはホームゲームの連勝こそ9でストップしたものの、4大会連続となるW杯出場を決めた。スイスのヴラディミル・ペトコヴィッチ監督も安どの表情を浮かべ、「選手はすばらしい成果をあげた。今日だけでなく、予選全体を通じて彼らが示してきたものに誇りを感じる」と選手たちを称えた。

 終わってみれば、北アイルランドにとっては、不運なPKが最後まで重くのしかかった。結果論とはいえ、スイスに1点のアドバンテージがなければ、この試合でもっと焦りが生まれていたかもしれないし、結果が違うものになっていても不思議はなかった。32年ぶりの大舞台まであと一歩だった北アイルランドにとっては、悔やまれる判定だったに違いない。

 とはいえ、言うまでもなく、北アイルランドの健闘は称賛に値する。チームを率いたマイケル・オニール監督も「結果は残念」としたうえで、こう語った。

「今日は何も得られなかったが、選手たちが私や母国にもたらしてくれたものは、本当に素晴らしいものだった。我々はワールドカップ出場という夢を実現させるために、最後の最後まで勇敢に戦った」

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