シティ対ナポリ。CLの戦術バトルをマッチアナリストが超マニアックに分析 (2ページ目)

  • ステファノ・コルシーニ&マッシモ・サッカー●解説 analysis by Stefano Corsini & Massimo Saccà宮崎隆司●構成 text by Miyazaki Takashi

 その答えは、試合開始直後に出されることになった。組織戦術の水準だけでなく、個々の技術、パワー、スピードなど、すべてにおいてシティがナポリを圧倒していた。

 シティの「4-3-3」のシステムは、攻撃の際に「3-2-4-1」に形を変え、状況に応じて「3-4-3」にも「3-2-5」にも変化した。

 ボールを失えば、すぐさまナポリのボールホルダーを囲んで奪い返す。たとえボール奪取ができなくても、「4-1-4-1」か「4-5-1」、あるいは「5-4-1」へと素早く滑らかに移行することで、ナポリの攻撃を遮断。これほど効果的に、局面の変化に応じて最適のフォーメーションをとれるチームは稀だ。やはり、グアルディオラの手腕は"さすが"と言う以外にない。
 
 特に有効だったのは、攻撃の際の「3-2-4-1」だ。【図1】のように、左SBのデルフが中央(MFフェルナンジーニョの隣)に入ってMFの役を務める形は、グアルディオラ得意の戦術。その仕掛けに、ナポリ得意の"ゾーン・プレス"が無力化した。

 【図1】この試合でポイントとなった、シティのデルフとウォーカーの動き 【図1】この試合でポイントとなった、シティのデルフとウォーカーの動き ナポリの右のFWカジェホンは行き場を失くし、MFハムシクも敵の3人(MFデ・ブライネ、MFフェルナンジーニョ、SBウォーカー)の間で右往左往するしかない。そして最も重要なのは、ピッチ中央に入ってMFの役を務めるシティの左SBデルフに対し、その位置にまでプレスに行くべきMFジエリニスキが、まったく前に出られなかったことだ。

 これは、自らの背後が数的不利になることを恐れたからだ。【図1】で明らかなように、シティはセンターラインより自陣側(DF、MF)で5対4の数的優位を確保し、ナポリのプレスを難なくかわす。センターラインより相手側(MF、FW)にボールを運ぶ際には、右SBのウォーカーが上がることで6対5(または6対6)の状況を作っている。

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