レスター新監督の新戦術。岡崎慎司は「またイチからだな」と這い上がる (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 ところがピュエル新体制では、さほどプレスが重要視されていなかった。守備時は素早くリトリート(後退)し、ペナルティエリア手前の低い位置でMFとDFの2ラインの守備ブロックを構築。その際、トップ下のリヤド・マフレズと1トップのジェイミー・バーディーは前線に残るため、4-4-1-1のような形に変形するが、マフレズとバーディーにはプレスが徹底されていなかった。それゆえ、高い位置でボールを奪うシーンよりも、低い位置でボールをブロックして、ロングカウンターで攻撃を仕掛ける形のほうが多かった。

 こうなると、センターフォワードと攻撃的MFのポジションに選ばれるのは「個の力」のある選手、つまり、単独でボールを前に運べる選手だろう。

 実際、バーディーとマフレズは単独でのドリブル突破が持ち味で、サイドMFに入ったグレイとチルウェルもドリブルでの持ち上がりが可能だ。プレスに重きを置かないのなら、献身的な守備とハードワークをストロングポイントとする岡崎とオルブライトンをスタメンから外した采配にも、明確な意図が見えてくる。

 象徴的だったのが、レスターの先制点だ。マイボールにしたグレイが3人の追っ手を次々とかわして60メートル強をドリブルで独走し、最後はバーディーがネットを揺らした。個の力を最大限に生かしてロングカウンターで仕留めた格好だ。

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