ドリブラー乾貴士がエイバルを救う。「念願のポジション」で2点演出 (2ページ目)

  • 山本孔一●取材・文 text by Yamamoto Koichi
  • 川森睦朗●撮影 photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 だが、そんな彼らを勇気づけたのが乾だった。

 序盤から得意のドリブルでエリア内に侵入を続け、エイバルの攻撃を牽引した背番号8番は、50分にエリア手前でMFダニ・ガルシアのパスを受けて中へとボールを運ぶと、たまらずレバンテのDFペドロ・ロペスがファウルを犯す。そして、このFKのチャンスをDFアナイツ・アルビージャが鮮やかに決めて、スコアを1点差まで縮めた。

 さらに73分、左サイドのDFダビド・ジュンカーからパスを受けた乾は、エリア内にスペースがあることと、レバンテDFの寄せが甘いことを瞬時に察知すると、ボールを運んで強烈な低い弾道のシュートを放つ。乾のシュートはGKラウル・フェルナンデスに弾かれたものの、ボールはFWシャルレスの前にこぼれて同点弾が生まれた。

 それでも、2点ビハインドからの同点はポジティブなもので、引き分けは上々の結果だろう。だが、試合内容や決定機の数からいえば、乾が欲していた勝ち点3をエイバルが獲得していても、まったくおかしくない試合だった。だからこそ、あの2分間の2失点が余計だった。

 だが、負けずに勝ち点1を獲得できたことは、残留を争うライバルとの対決としては悪くないし、チームの士気のうえでもプラスなものだ。そしてこの試合でも、乾は第9節レアル・マドリード戦に続いて新システム、新ポジションに手応えを感じている。

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