脱メッシの切り札か。突然現れた22歳
アルナイスにバルセロナが大騒ぎ

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 そして3カ月足らずで、市場価値は2000万ユーロ(約26億円)以上に跳ね上がったといわれる。

 アルナイスはいわゆる無名の選手だった。スペインのユース年代で注目されたこともない。2016年の夏までは2部バジャドリーのBチームでのプレーが主戦場。アマチュア選手に等しい。

 では、アルナイスのなにが目の肥えたスペイン人を騒がせているのか?

「めっちゃ速かったです。いつの間にか逆を取られている感じでした」

 2016―17シーズン、アルナイスと対戦した鈴木大輔(タラゴナ)は語っているが、稲妻を思わせるスピードが武器になっている。

 凄まじい高速プレーの中で、ボールタッチが乱れない。少しでもスペースがあると、すかさず入り込み、両足でのドリブルで相手の裏を取ってしまう。そしてドリブルからのシュートが、ふてぶてしいほどに落ち着いている。

「Desborde y Gol」(突破とゴール)

 ふたつが結びついている。どちらかの選手は少なくないが、どちらも持っている選手は少ない。

 そんな選手が埋もれていたのには、地理的な要因が理由のひとつに挙げられる。アルナイスの出身地であるカスティーリャ = マンチャ州のトレド県、タラベラの周辺はサッカーが盛んとは言えない。距離的に近いエストレマドゥーラ州は不毛の地とさえ言われ、1部どころか、2部にもクラブがないのだ。

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