アトレティコ戦でピケにブーイング。政治がバルサを揺るがした2週間 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 もっとも、独立→カタルーニャ代表の国際大会参戦は雲をつかむような話である。そもそも独立に向けてのハードルは相当に高い。その上でFIFAに加盟し、予選に出場する。その道程はとても2、3年で成し遂げられるものではないだろう。

「僕はこれから何年もスペイン代表としてプレーするよ」

 ブスケッツが公言しているように、現時点でカタルーニャ代表がW杯に出場する見込みは立たない。スコットランドやウェールズのようにサッカーの代表だけがFIFAに加盟する道もないではないが、カタルーニャ人のスペイン代表選手たちは「世界王者を目指すならばスペインで」というのが本音だろう。もし分裂、独立したら、どのみち戦力は弱まる。王座は遠のいてしまうのだ。

 ただ、不穏な気配はある。

 近年、カタルーニャ人であることを主張する機会が多いピケには、スペイン国内の試合でブーイングがやまない。先日の住民投票後は、代表合宿中にピケが警察の暴力やラホイ首相のスピーチに抗議するツイートを発信。練習場で過激なファンから罵詈雑言を浴びせられる事態に発展した。軋轢(あつれき)は収まるどころか、激しくなっている。こうした状況が続くと、カタルーニャ人選手にとっては居心地が悪い代表チームとなってしまう。

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