ほぼ同成績でプレミアを並走。
今季はマンチェスター2強の一騎打ちか

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 昨季のプレミア王者のホーム、スタンフォードブリッジに向かったメンバーには、主将のヴァンサン・コンパニ、チーム得点王のセルヒオ・アグエロ、新加入ながら左SBの定位置を掴んでいたバンジャマン・メンディのレギュラー3人がいなかった。

 それぞれに負傷でこの重要な一戦を欠場したわけだが、おそらく指揮官に焦りはなかったはず。複数のシステムを自在に使い分ける46歳のスペイン人監督は、前線と最終ラインの主力の不在には枚数の変更で対処し、レフトバックは汎用性の高いMFファビアン・デルフに任せた。

 そして、敵地でもいつも通りにショートパスを回し続け、6割以上のポゼッション率をマークし、後半のケヴィン・デ・ブライネの鮮やかなミドルで1-0の勝利を収めている。同じく策士であるチェルシーのアントニオ・コンテが、今季の新機軸として手応えを感じつつある3枚のセントラルMFをもってしても、シティの創造性を止めることはできなかった。

 デ・ブライネとダビド・シルバが美しくゲームをつくり、ガブリエウ・ジェズス、レロイ・サネ、ラヒーム・スターリングといった技術とスピードに優れるアタッカーたちが次々に相手ゴールに襲いかかるさまは、ライバルたちを震え上がらせているはずだ。ボールタッチ、パス、シュートの本数ですべてリーグ1位を記録する"ペップ"のシティは、破壊的な攻撃力を有するものの、その流麗なスタイルから"柔"の印象を与える。

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