バルサは「国家の代理」。カタルーニャ独立運動で示した巨大な影響力 (3ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 こうしたカタルーニャ的な伝統があるからこそ、バルサはクラブのスローガンでもある「メス・ケ・ウン・クルブ(フットボールクラブ以上の存在)」でいられる。

 バルサがカタルーニャ主義の非常に影響力のある象徴になったことから、多くのカタルーニャ人は、自分たちが持っていない国家の「代理組織」のような存在としてバルサをサポートしている。そう考えれば、バルサがファンの気持ちをこれだけ熱くするのも納得がいく。

 言ってしまえばバルサは、ヨーロッパの中規模の国にある第2の都市を本拠とするクラブでしかない。2005~06年シーズンのチャンピオンズリーグ制覇に始まる黄金期を迎えるまでは、ヨーロッパ王者になったことも1度しかなかった。それでもバルサは、ヨーロッパ最大のスタジアムをほぼ常に満員にしてきた(カンプノウの現在の収容人員は9万9354人)。

 アメリカの経済誌フォーブスと、ソーシャルメディアやデジタルメディアでのスポンサー活動の価値について調査する米フーキット社による昨年の試算によれば、バルサのソーシャルメディア上のフォロワーは1億4500万人に及んでいた。それは地球上のどのスポーツチームよりも多く、アメリカンフットボールのNFL全チームの合計を上回る。
(つづく)

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