W杯予選のアルゼンチンが危機。ペルーをビビらせる会場で必勝を期す (4ページ目)

  • 三村高之●文 text by Mimura Takayuki photo by Getty Images

 ただ、能力、実績とも代表入りにふさわしいものを持っているイカルディだが、実はひとつ問題を抱えている。それは、自分を可愛がってくれた兄貴分のようなアルゼンチン人選手から、モデルの美人妻を奪ってしまったことだ。ディエゴ・マラドーナはイカルディのことを、「最低の裏切り者だ」と、ことあるごとに罵(ののし)っており、ベネズエラ戦の後も、「もっといい選手は他にたくさんいる」とこき下ろした。代表選手の中にはマラドーナ信者が少なからずおり、彼らもイカルディを露骨に嫌うようであれば、その起用はマイナスにしかならないだろう。

 10月5日に行なわれる第17節は、アルゼンチン対ペルーの直接対決。これに負ければ大変なことになるアルゼンチンは、試合会場をリーベルプレートのスタジアムから、ボカ・ジュニアーズのボンボネーラに変更した。

 狭い敷地にぎっしりと建てられたこのスタジアムは、スタンドが近いだけでなく急傾斜で、ピッチ上の選手はまるで観客の壁に囲まれたように感じる。相手選手に与えるプレッシャーは相当なものだ。キャパシティーはリーベルより5000人ほど少ないが、協会は収入減を覚悟のうえで相手が嫌がるスタジアムを選んだ。ちなみに、ボンボネーラでW杯予選が行なわれるのは、1997年11月16日のコロンビア戦以来のことだ。

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