W杯予選のアルゼンチンが危機。ペルーをビビらせる会場で必勝を期す (2ページ目)

  • 三村高之●文 text by Mimura Takayuki photo by Getty Images

 苦手な高地での黒星、強敵ウルグアイとの引き分けは予想されたことであったが、想定外だったのは9月5日に行なわれた第16節のベネズエラ戦だ。相手は最下位のチームで、会場はブエノスアイレス。順位争いのライバルであるチリの敗戦が伝わっており、「これで4位浮上」と誰もが思った。しかし結果は、先制を許し、相手のオウンゴールでかろうじて引き分けというもの。順位はチリを上回ったが、2連勝のペルーに勝ち点24で並ばれ、得失点差も同じなため総得点の差で5位は変わらなかった。

 総得点でペルーを下回るアルゼンチンだが、その得点数はというと、なんと16得点。16試合で16得点だ。これはボリビアの14得点に次ぎ、10カ国中9番目という少なさである。1位のブラジルは38得点、2位のウルグアイは28得点で、大きく水をあけられている。

 サンパオリとなってからの4試合、シュートチャンスはたくさん作っている。しかし、決めきれない。いわゆる決定力不足だ。とはいえ、単にシュートが入らないというだけではない。メッシやアンヘル・ディ・マリアらが相手DF陣を切り崩してシュート態勢に入るのは以前と変わらないが、全盛期のアルゼンチンは、誰かがシュート態勢となったとき、突然ゴール前にフリーの選手が現れることが多々あった。そしてシュートを打とうとした選手はパスに切り替え、フリーの選手が難なく決めていた。しかし最近の試合では、この幽霊のような選手が現れない。

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