乾貴士がエイバルの苦境に抱える責任感。「下を向いても意味はない」 (3ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「自分たちがどこで取りにいくのかをしっかりしないといけない。全員が連動した守備ができるように、そこから修正しないといけない。連動したサッカーがエイバルの持ち味だし、去年までのサッカーを取り戻さないと本当に厳しい戦いになる」

 乾はチームとしての決まり事が果たせていないことを危惧していた。

 この試合に敗れ、第6節終了時点でエイバルは16位に沈む。だが、全てを悲観する必要はない。シーズンはまだ始まったばかり。残留に向けて試合はまだ多く残されているし、スタートダッシュの躓(つまず)きを取り戻すだけの時間は十分にある。そして完敗したとはいえ、試合後には温かく拍手を送り、チームを激励するサポーターたちがいることも、他のクラブにはない小さな街のクラブであるエイバルのよさだ。

 そして何よりも主役である選手たちの気持ちはまだ死んでいない。乾が「下を向いていても意味はない。前を見て次の相手のことをしっかりと考えないといけない」と話せば、キャプテンのダニ・ガルシアも「早く気持ちを切り替えて明日の練習からビジャレアル戦に向けてやっていきたい」とコメント。ロッカールームの雰囲気を早く明るいものに変えようと、強い気持ちを持って前を見据えている選手たちがいる。


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