乾貴士がエイバルの苦境に抱える責任感。「下を向いても意味はない」 (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 後半になっても勢いを取り戻すことのできないエイバルは、72分に今度は右サイドを完璧に崩され、ダメ押しとなるゴールをダニエル・ワスに豪快に決められた。

「タカシを下げた自分の決断が正しかったとは思わない。なぜなら、交代後もチームのパフォーマンスに大きな変化はなかったからだ」と、メンディリバル監督は、この試合での交代カードの切り方が最善ではなかったことを素直に認めている。

 乾はいつも以上に深刻な面持ちでミックスゾーンに現れた。交代については、「2失点した後で点を取りにいきたかったし、(交代枠で)FW3枚を使うという考えが今シーズンはある。それまでに自分が何もできなかったのが交代の要因だと思うし、仕方がない」と語る。個人としての悔しさや苛立ちといった感情を見せるのではなく、いいパフォーマンスを見せることのできなかったチームに対する思いや、強い責任感を感じさせる反省の弁が口をついて出た。

 メンディリバルが監督に就任した2015年以降、チームとしてコンパクトな戦いを見せてきたエイバルだが、今シーズン、その姿は影を潜めてしまっている。完敗したアウェーでのセビージャ戦後、組織としてボールを奪いにいくこと、はめる形が作れていないことを乾は反省点として挙げていたが、セルタ戦はまだその修正が完全にできていないことが浮き彫りとなった試合だった。

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