メッシ4点vs乾貴士0点。
バルサの「個の力」に粉砕され悔しさ爆発

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 6対1、結果だけを見ればバルセロナが圧倒した試合だが、最初のPKが決まるまでは、むしろエイバルが優勢に試合を進めていた。実際に前半4分には乾がチャンスにからみ、左サイドのダビド・フンカからのスルーパスを受けたセルジ・エンリッチがGKと1対1の決定機を作る。さらに10分には乾が右サイドからのクロスをエリア内でシュートするなど、エイバルが先制点を決めてもおかしくない展開だった。

 だが、この試合の主役はメッシ以外にいなかった。ヘタフェ戦に続き、組織としてシンクロしたプレーをすることのできなかったバルセロナにあって、ひとつのプレーで勝利をもたらすことのできるエースたる所以(ゆえん)を見せつけたのだから。

 バルセロナのエルネスト・バルベルデ監督も、試合後の記者会見で「試合が終われば簡単のように見えるが、試合中は目に見えるほど簡単なことではなかった。6対1の結果はエイバルを打ち負かしたように感じられるが、実際はそうではない。エイバルはプレッシャーをかけ続けてきたとても勇敢なチームだ」と、敵地でも自分たちのサッカーを貫いたエイバルの戦いを賞賛している。

 両チームの勝敗を分けたのは個の力だ。エイバルには前述のチャンス以外にも、乾のエリア内シュート、ミドルシュート、ルベン・ペーニャのポスト直撃弾などがあったが、いずれもゴールという結果に結びつけることはできなかった。一方、メッシは作り出したチャンスをしっかりとゴールにした。

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