「メッシ依存症」のバルサ。ユーベに圧勝も、もしエースを欠いたら... (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 前半のバルサは、ユーベの守備ブロックの外でボールを回す時間が長くなり、ブロックの中でパスを待っているのは、スアレスひとりだけ。これでは攻撃をスピードアップさせることはできず、効果的な崩しが生まれるはずもなかった。

 ただ、ユーベに残念だったのは、完全に狙い通り網にかけて奪えているはずのボールを、個々の選手がトラップミスしたり、つなごうとしてパスミスしたりと、自らの失策によってフイにしてしまうことが多かったことである。せっかく組織的な守備が機能しながら、試合の主導権を決定的につかみきれなかった要因だ。

 センターバックのメディ・ベナティアが楽にカットできたはずのボールを処理し損ねてメッシに拾われ、2点目を失ったシーンなどは、まさにその象徴だった。

 また、メッシに先制点を決められて以降、メッシがボールを持った時にユーベDFの足が止まるようになったことも、バルサの攻撃を勢いづかせた。メッシに網を破られたイメージが強すぎて、ポジションを動かすことが怖くなってしまったのだろう。もちろん、体力の低下もあっただろうが、まるで金縛りにあったかのようだった。

 後半に入ると、足が止まって穴だらけになってしまったユーベ守備網に対し、バルサは本来のリズムでパスを回せるようになった。こうなってはもう、ユーベはお手上げだ。

 それを考えると、ユーベの主力選手にコンディション不良や出場停止によって、欠場者が相次いだことは痛かった。結果的に、いかに組織で上回ろうとも、選手個々の能力にねじ伏せられてしまう。そんな切ない試合になってしまった。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る