「メッシ依存症」のバルサ。ユーベに圧勝も、もしエースを欠いたら... (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 優れたストライカーを評する時、「一振りで試合を決められる」という表現が用いられることがあるが、この日のメッシはまさにそれ。電光石火の一振りで勝負を決定づけてしまった。

 とはいえ、終わってみればメッシ・ショーとなってしまった大差のゲームも、内容的に見ればスコアほどの差があったとは思えない。特に前半のユーベは、ボールポゼッションでこそバルサに上回られていたものの、バルサにほとんど良さを出させず、うまくボールを奪って効果的なカウンターにつなげていた。メッシに先制点を許すまでの44分間は、ユーベペースで試合が進んでいたと言ってもいい。

 中でも、組織的な守備は非常によく機能していた。

 バルサが低い位置でボールを回している時には、横に広く、ゆったりと形成されている守備ブロックが、前線の選手のボールへのアプローチを合図に、ブロックがきゅっと縮まり、ボールを囲い込みにかかる。特にスタンドから見ていると、ボールの位置によって伸縮自在の守備ブロックがバルサボールを網にかけていく様子が、非常によく分かった。

 これによって、ボールの近くに複数の選手がいる状態を常に作れるため、数的優位でボールを奪いにかかれる。仮にメッシがドリブル突破を試みてひとりがかわされても、2人目、3人目が襲い掛かってボールを奪い取っていた。

 さすがのメッシもボールを奪われるシーンが多く、たまらず下がってボールを受けに来る回数が増え、ユーベの守りに手を焼いている様子だった。

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