夢のW杯に近づくアイスランドの本拠地は、凄いパワースポットだった (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text&photo by Asada Masaki

 66分には、ウクライナの攻撃の中心であるMFイェウヘン・コノプリャンカから、MFアロン・グンナルソンが奪ったボールを、テンポよくつないで右サイドへ展開。右からのクロスをFWヨン・ベズヴァルソンがワンタッチで丁寧に落とすと、これをまたしてもシグルズソンがダイレクトでゴール右隅に蹴り込み、ウクライナを突き放した。

 落胆するウクライナを尻目に、意気が上がるアイスランド。残り時間も効果的なカウンターをちらつかせながら、ウクライナの反撃を封じて試合を終えた。

 それにしても、アイスランドのホームでの強さには目を見張るものがある。今回の予選では、ホームゲームは4戦全勝。グループ首位を争うクロアチアをも葬っている(1-0)。裏を返せば、アウェーでは意外な脆(もろ)さを露呈してしまうのだが、とにもかくにも、アイスランドの躍進が地元ファンの大声援によって支えられていることは間違いない。

 実際に現地を訪れてみると、アイスランド代表のホームスタジアム、ロイガルダルスヴェルルは何とも言い難いパワーを秘めていることに気づく。

 メイン、バックの両スタンドとも非常に小さなもので、規模としては柏レイソルのホームスタジアムをイメージしてもらえばいいだろうか。そのうえ、両ゴール裏には立ち見用の階段がついたスタンドしかなく(試合では使われていない)、収容人数(座席数)は9800人ほどにすぎない。にもかかわらず、スタンド全体が一体となって歌い、手を叩くと、素朴ながらも力強い、得も言われぬ雰囲気が醸し出されるのである。ある意味で、サッカーに付きものの粗野で野蛮な雰囲気とは、明らかに一線を画している。

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