プレミアで最安値のチケット。誰もがハダースフィールドを愛している (2ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 そのころクラブには、選手以外のスタッフが15人ほどしかいなかった。「本当に必要最小限だった。チケット売り場の女性、掃除係の女性、用具係のブロッキーという男性はシェフも兼ねていた。みんなお互いを知っていた。大切なのは、僕たちがそんな家族のような雰囲気を失わなかったことだ」

 ハダースフィールドの町も同じだった。「店もレストランも、そんなにない」と、ブースは言う。「もし休暇にハダースフィールドに行くという人がいたら、やめたほうがいいと言うだろう。でもヨークシャーの他の町と同じで、とてもフレンドリーだ」

 ブースはシェフィールド・ウェンズデイにしばらく在籍し、トッテナムで4試合に出場したが、2001年にハダースフィールドに復帰し、引退までの8年を過ごした。彼のハダースフィールドでの最後の試合では、ホームとアウェー両方のファンからスタンディングオベーションが起こった。ブースがハダースフィールドで決めた150ゴールは、クラブの歴代通算得点で3位の座を維持している。

 ブースはクラブのトレーニングウェアについている3つの星を指さす。1920年代に3年連続でイングランドのトップリーグを制したことを称えるものだ。

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