プレミア初昇格で3位。選手がファンと一緒に食堂の行列に並ぶクラブ (7ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 ワグナーはクラブのことをグーグルで調べ、ドイツ2部リーグ程度の力はあるだろうと思った。実際にハダースフィールドに来てチームを見てみると、それほどではなかったと、ワグナーは言う。

 だが彼は、ハダースフィールドのことを「熱く、野心があり、エキサイティングで謙虚なチーム」だと感じた。労働者の町の空気も、彼が育ったドイツのルール地方に似ていた。

 すぐにワグナーは、同じレベルのドイツ人選手とイングランド人選手を比べると、ドイツ人のほうが安くつくことに気づいた。「プロ意識という面では、ドイツ人選手のほうが上だ。食事に気を遣ったり、トレーニングをきちんとしたり」

 そこでワグナーは、ほとんどがイングランド人選手だったチームに、ドイツ人を何人か入れた。「イングランド人選手のほうが上を行っていたのは、メンタルの部分だ。ラグビーの影響がいくらかあるのではないかと思う。どこかを痛めても顔に出さず、そのままプレーを続ける。ドイツでは見られない光景だ。そこで、ドイツ人のプロ意識とイギリス人のメンタルを融合しようと試みた」

 初めて経験する監督の仕事で、ワグナーはクロップがリーダーシップについて言い続けていたことを頼りにした。

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