プレミア初昇格で3位。選手がファンと一緒に食堂の行列に並ぶクラブ (6ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

[監督]

 監督のデイビッド・ワグナーのオフィスは、壁がとても薄いので、隣の部屋にいるスタッフの話し声が筒抜けだ。

 ワグナーはアメリカ人の軍人の父とドイツ人の母の間に生まれ、フランクフルトの近くで育った。ドイツのいくつかのクラブでフォワードとしてプレーし、90年代後半にはアメリカ代表として8試合に出場している。

 後にドルトムントのリザーブチームの監督に就任。「とても重要な役割を担っていたと思う」と、彼は言う。

 ワグナーはトップチームの監督だったユルゲン・クロップ(現リバプール監督)と、つねに激論を闘わせた。ワグナーはクロップの結婚式で、彼の介添人も務めている。

「彼(クロップ)のおかげで、指導者としての考え方を形づくることができた。僕らふたりは、同じタイプのフットボールをめざしていたから。プレスをかけて、素早く攻守を切り替えるゲームだ」

 2015年、ワグナーはクロップと同じく、イングランドへ渡るチャンスを手にする。「ハダースフィールドが連絡してきたとき、実を言うと、名前も聞いたことがなかった、それまでイングランドに行ったのは、ロンドンのヒースロー空港での乗り替えのときだけ。ドイツ人ならたいていするようなお決まりのロンドン観光も、したことがなかった」

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