プレミア初昇格で3位。選手がファンと一緒に食堂の行列に並ぶクラブ (3ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 ハダースフィールド・タウンFCが最高の栄光をつかんだのは、1923~24年シーズンから1925~26年シーズンだ。このときは1部リーグで3連覇を果たした。

 3度の優勝のうち最初の2度をもたらした監督は、ハーバート・チャップマン。いまカナルサイドの受付には、彼の胸像が置かれている。チャップマンはアーセナルの監督に引き抜かれてしまったが、その後を受け継いだセシル・ポッターがチームを3度目の優勝に導いた。

 だがやがて、町の産業の低迷がクラブにも悪影響をもたらす。過去61シーズンのうち、ハダースフィールドがトップリーグに籍を置いたのは、1970年から72年の間だけだ。近くにあるリーズはハダースフィールドをライバルと認めず、同じく近場のマンチェスター・ユナイテッドを倒すことを目指していた。

 しかし90年代に入ると、ハダースフィールドの町(人口16万9000人)はいくらか上向きになってくる。1995年にはクラブの新しいスタジアム(イギリスで相次いだ新スタジアムの建設の先駆けだ)が、王立英国建築家協会(RIBA)の選ぶ「今年の建築」賞に輝いた。ハダースフィールド大学も評価が上がり、2013年には「今年のイギリスの大学」賞を受け、地元経済の中心になっている。古い繊維工場の一部は改修されて、学生の住居になった。

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