驚異の「残留力」。長友佑都の名前がインテル放出リストから消えたわけ (2ページ目)

  • マッテオ・ブレーガ●文 text by Matteo Brega 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 また、長友はその売り先にも困ることはなかった。彼の元には主にドイツを中心に多くのチームからのオファーが寄せられていた。かの国ではすでに日本人選手は一定の高い評価を受けており、受け入れる土壌ができている。ブンデスリーガになじみやすいのもすでに立証済みだ。例えばハンブルクなどは右サイドバックに日本人の酒井高徳がいる。逆サイドに同国人の長友が入ればかなり有利なのではないかとも考えられた。

 しかし就任以来、長友の練習の様子を日々眺めてきたスパレッティは、次第にその考えを変えていく。監督は長友の特性、テクニック、そしてなにより仕事に対する真摯な態度を高く評価するようになったのだ。また試合の流れを読む力、なにより守備の場面での洞察力にも一目置くようになった。試合の様々な局面で、それに見合った対応が素早くできるということは、スパレッティ・サッカーの基本中の基本である。

「ユウトは非常に優秀な選手だ。常に自分のやるべきことを理解していて、その判断は完璧なことが多い」

 ビジャレアルとのプレシーズンマッチの後、スパレッティはこうコメントした。
 
 そして実は、今回のダルベルトの加入こそが、長友の未来をインテル残留の方向に大きく傾けた。

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