ネイマールがPSGへ。世紀の移籍でバルセロナが失ったものと得たもの (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Gtres/AFLO

 もっとも、すでにファンから裏切り者扱いされているネイマールの立場を考えれば、もうバルセロナに戻るという選択肢は残されていなかった。

 カンプノウ周辺の電柱には「裏切り者」「傭兵(金で雇い主を変える)」といった言葉や、米ドルのマークとともにブラジル代表FWの顔がプリントされた、お尋ね者扱いするポスターが貼られており、バルセロナを敬愛するカタルーニャ地元紙のアンケートでは、80%以上が退団に賛成していた。たとえLFPが引き留めたとしても、バルセロナにもうネイマールの居場所はなかったのだ。

 ネイマールを失うことになるバルセロナ。その損失がピッチ内外でとてつもなく大きいのは誰の目から見ても明らかだろう。

 記録として残る得点以上に、ネイマールはその突破力でバルセロナの攻撃の起点となるプレーを担っていた。毎シーズン100得点以上を決めていたリオネル・メッシ、ルイス・スアレスとのトリオMSNは解体。さらに、MSN唯一の20代選手がチームを去ったことは、将来のバルセロナのプロジェクトの柱を失ったことを意味する。

 ピッチ外に目を向けても、メッシ、クリスティアーノ・ロナウドの次の時代を担うネイマールが抜けたことで、新たなスポンサー獲得が困難になるのは間違いない。

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