堂安律を「ホームシックにさせない」。フローニンゲンの細かな心配り (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 オランダには6000人から7000人ほどの日本人が住んでいると言われているが、その半数以上がアムステルダム周辺に集まっている。スタジアムツアー参加者のひとりがフローニンゲンに住む日本人について教えてくれた。

「フローニンゲンには100人ほどの日本人が住んでいます。大学がありますので、学生さんや駐在で務めている方、そして私たちのように国際結婚で住んでいたりとかです」

 サッカー界のトップタレントは若くして世界を舞台にして戦い、立派な稼ぎもあることから、同世代の若者と比べると驚くほど大人びている。そういう層の選手たちが諸外国からヨーロッパに渡ってくるので、私は「最近の若い者は立派だな」と感心することしきりなのだが、やはり時おり、精神的なもろさを露呈する選手もいる。

 U-20ワールドカップで活躍し、PSVやアヤックスからも誘われた堂安律は、6月30日にフローニンゲンで入団記者会見を行なった。物怖じすることなく快活に抱負を語る堂安をライブストリーミングで見ながら、「彼は海外でも困らないタイプの青年だな」と感じていた。

 しかし一方でフローニンゲンは、堂安がこれから困らないように先手を打ち、日本人の地域コミュニティとコンタクトをとって、「何か律に困ったことがあったら助けてやってほしい」と依頼していたという。フローニンゲンは彼らをグラナダ戦に招待し、試合前にスタジアムツアーを行ない、試合後には堂安と顔合わせをするという段取りを組んでいた。

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