コンフェデ杯を勝った「ドイツ式5-4-1」の優位な点とダメな点 (5ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 しかも、この若手主体のドイツ代表には、ヨシュハ・キミッヒを除けば、気の利いた技巧派がいない。大きな体格と身体能力を拠り所にした選手ばかりだ。タレント的にも古いドイツを見る気がした。監督は変わってないにもかかわらず、別のチームを見るようだった。そして布陣も従来の4-2-3-1あるいは4-3-3から5-4-1に変化した。

 2018年ロシアW杯で連覇を狙うディフェンディングチャンピオンながら、ドイツはユーロ2016では、準決勝でフランスに0-2で敗れている。やや評判を落として状態で迎えた今回のコンフェデだった。そこに若手を送り込む姿に王者らしい余裕を垣間見たが、「これはいける」という素材は特段、目に止まらなかった。サッカーそのものも、時代に対して進歩的とはいえなかった。もっと3-4-3的にいけるはずなのに、5-4-1に甘んじた。

 それでもドイツは優勝した。世の中の評判も悪くない。5-4-1は流行しそうなムードがある。レーヴは本番でどのようなサッカーを披露するつもりなのか。一抹の不安を感じる。むしろ、つい真似をしたくなる今日性あふれるサッカーをしていたのは、決勝で敗れた側のチリだ。コンフェデ杯優勝という事実で「ドイツはすごい」と買いかぶるわけにはいかないのである。

■海外サッカー 記事一覧>>

5 / 5

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る