断られた過去、古巣の仇。柴崎岳のヘタフェ移籍にまつわる不思議な縁 (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 現在のヘタフェのスポーツディレクターの名はラモン・プラナス。リーガに詳しい人であれば一度くらいその名を聞いたことがあるかもしれない。エスパニョール時代、「君がこのチームの華となる選手だ」と言って中村俊輔を口説き落としたといわれている人物で、柴崎の代理人とは旧知の仲だった。

「裏切られた」「サポーターの気持ちは関係ないのか」「いなくなるのはわかっていたが、ヘタフェだけはないよ」......。

 今回の柴崎の移籍に関して、古巣のテネリフェからはすでに失意や悲しみの声がSNSで上がっている。その気持ちは痛いほどわかる。7年ぶりのプリメーラ昇格の夢を砕いたのがヘタフェだ。今ではテネリフェサポーターにとって、永遠のライバルである隣の島のラス・パルマス以上に許せぬ相手である。そんなチームに、半年という短い期間とはいえ、愛していた選手が移籍したのだから無理もない。

 では、テネリフェの宿敵となったヘタフェとはどんなチームなのだろうか。簡単にいえば、レアル・マドリードとアトレティコ・マドリードという2大クラブの影にすっぽりと隠れた、スポットライトの当たらないマドリード近郊の小さなクラブだ。

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