スペイン、ドイツに続く台頭国は?U-21欧州選手権に見る勢力図 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 海外資本も流入し、世界的に見て最も富に恵まれたリーグと言ってもいい、イングランド・プレミアリーグ。世界各国から名だたるスター選手が集まるリーグは、裏を返せば、自国の選手にとっては活躍する、あるいは出場機会を得るための高いハードルが待ち構えていることを意味する。

 今大会に出場したメンバーを見ても、プレミアリーグ所属のクラブで主力として活躍できている選手は、GKピックフォード(サンダーランド)の他、DFカラム・チャンバース(ミドルズブラ)、MFジェームズ・ワード=プラウズ(サウサンプトン)など、ごくわずか。2部リーグにあたるチャンピオンシップ所属のクラブでプレーしている選手も少なくない。

 例えば、MFナサニエル・チャロバーなどはサイズにも恵まれ、高いポテンシャルを感じさせるボランチだが、下部組織からチェルシーで育ちながら、なかなかトップチームでプレーするチャンスを得られていない。毎年のように期限付き移籍を繰り返しているのが現状だ。

 準決勝でスペインに敗れた、イタリアのルイジ・ディ・ビアージョ監督が「我々の選手は主にセリエAでプレーしているが、スペインにはチャンピオンズリーグなど、ヨーロッパのトップレベルでプレーしている選手が何人かいる」と、経験と実績の違いを口にしていたが、同じことはイングランドにも言えるだろう。いや、むしろイタリア以上に深刻な状況にあると言えるのかもしれない。

 確かにUEFAが発表しているデータ(6月8日時点)を見ると、今大会の登録メンバーのなかでA代表でのプレー経験を持つ選手の人数は、スペインの8名、ドイツの5名に対し、イングランドは3名。しかも、そのうちふたりは、わずか1試合ずつに出場したに過ぎない。

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