スペイン、ドイツに続く台頭国は?
U-21欧州選手権に見る勢力図

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 準優勝のスペインもハイレベルなポゼッションサッカーは健在で、選手個々の能力の高さではドイツ以上だった。"2強"が順当に勝ち上がり、そろって決勝に進出したことは、この2カ国が育成・強化において充実している現状を物語る。

 当然、こうした成功は他の国にも影響を与える。そのひとつに挙げられるのが、イングランドだろう。

 先のU-20W杯で初優勝を遂げたサッカーの母国は、この大会でもグループAを首位通過。準決勝でドイツに2-2からのPK戦(3―4)で敗れはしたが、2強を追う存在であることを印象づけた。

準決勝でドイツに敗れたイングランドだが...。photo by Getty Images準決勝でドイツに敗れたイングランドだが...。photo by Getty Images 率直に言えば、今大会のU-21世代には個々の能力においても、チームとしての組織や戦術といった面においても、世界チャンピオンとなったU-20世代ほどのインパクトはなかった。

 それでも、イングランドに起きている"サッカーの変化"は、十分に感じ取ることができた。確実にボールをつないで攻撃を組み立てるなかで、狙いを持った長短のパスを蹴り分けていたGKジョーダン・ピックフォードは、その象徴的な例だろう。

 世界を制した年代が中心となる2年後のこの大会を楽しみにしたいのと同時に、注目すべきは、イングランドもまたスペインやドイツに続き、育成の成果をA代表につなげられるかどうか、である。

 だが残念なことに、その点に関して言えば、イングランドが厄介な問題を抱えているのも確かだろう。というのも、イングランドは自国リーグがあまりに充実してしまっているからだ。

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