ハリル監督も学んでほしい、
「得点がどんどん入る」ナポリの組織戦術

  • 宮崎隆司●文 text by Miyazaki Takashi
  • photo by Getty Images

 ナポリの選手は、戦術を機能させるために走ることを厭(いと)わない。かつてディエゴ・マラドーナがつけていた「10番」は永久欠番になっているため、現ナポリに10番はいないものの、実質的にその役割を担うインシーニェは1試合あたり12kmを超える距離を走っている。これは逆サイドのFWカジェホンも同様だが、SBのエリアもカバーしているためだ。

昨季、インシーニェは18ゴールと8アシストを記録し、14ゴールを決めたカジェホンはリーグ最多の12アシストを挙げている。かつて、ヨハン・クライフが口にした「1試合で10km以上もFW陣が走るのは、誤ったポジショニングをしているから」ではない証(あかし)である。そして、現在のナポリを実際に目にすれば、「10番を走らせる監督は2流」などと、軽々(けいけい)には言えないはずだ。

 1970年、1980年代を彩った10番たちのような魅力を、今日の選手が持ち得ていないのは事実だろうが、サッカーは時代の流れに応じて変化し、進化していく。2017年の今、1試合で10km以上を当たり前のように走るFWがいても何ら不思議ではない。

 確かなのは、現在のナポリが実に魅力的なサッカーをしているということ。そして、サッリ監督は指揮を執り始めてから2年しか経っていないということだ。さらに戦術が成熟されていく中で、サッリ監督が今夏の合宿でどんな新トレーニングを試みるのか、楽しみでならない。

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