2017.07.03

ハリル監督も学んでほしい、
「得点がどんどん入る」ナポリの組織戦術

  • 宮崎隆司●文 text by Miyazaki Takashi
  • photo by Getty Images

ジョルジーニョ(8番)からインシーニェ(24番)に縦パスが入った時の各選手のポジション ジョルジーニョが21本目のパスをインシーニェに入れる際、通常はピッチ幅いっぱいに広がっているはずの「4−3−3」のFW3人が、ピッチの中央で至近距離に並んでいる。このように、FW陣がゴールに背を向けて横一列に並ぶことを「(相手DF陣の前で作る)壁」と言い、その壁にパスを当てることで次の展開へとつなげている。

 ナポリのFW陣は「あえて相手DF陣にマークさせる」ポジションで壁を作る。その密集した中央エリアに意図してボールを入れ、相手がさらに人を割かざるを得ないように仕向けると、手薄になったサイドへボールを振り、相手GKとDFラインの間へ鋭いクロスを入れてゴールを狙う。

 これはあくまでもひとつの攻撃パターンだが、トリノ戦における4点目はまさに狙い通りだった。密集地帯からチャンスを作り出すこの形は、アジア予選を戦う日本代表にとっても永遠の課題となっている、「引いた相手を崩す」有効なヒントとなるだろう。

 また、ゴールを決めたカジェホンの動きも素晴らしかった。ボールがサイドに渡ると、ペナルティエリアに侵入する際に一度ニアに走り込んでDFを引きつけ、そこから真横にスライドすることで完全にフリーになり、クロスボールをネットに叩き込んだ。
 
こういった動きに関しても、サッリ監督はひとりひとりの選手に細かく指導する。結果、昨季のナポリはリーグ最多得点を記録し、急遽CFへコンバートされたドリース・メルテンスは28ゴールを挙げた。その数字は、宿敵ユベントスへ移籍した前年までのエース、イグアインの24ゴールを上回っている。

 フィールドプレーヤー4人(メルテンスの他に、インシーニェ、カジェホン、マレク・ハムシク)が2桁得点を記録したチームは、欧州5大リーグの中でもナポリが唯一。この数字は、サッリ監督のトータル・ゾーンが、「いかにして分厚く攻めるか」という解から逆算して導き出された戦術であることを証明している。